コスモス「銀河に立つ」

原題は「Standing up in the Milky Way」です。
セーガン博士の宇宙旅行が映像的にも内容的にも古くなったので、「また旅立つ時がやって来た」と言って新ホストのニール・ドグラース・タイソンが、第一回目の時に旅立った海岸で待ち構えていました。しかも、この新シリーズの第一声はセーガン博士が最初の旅に誘ってくれた台詞から。


「現在、過去、未来の全て。これが宇宙です」このシーンが使われます。



それにしても驚くのは映像の素晴らしさで、私はCATV経由のナショナルジオグラフィックから見はじめましたが、それでは我慢ならずブルーレイですでに販売されているので、早速購入しました。クオリティの高さに声も出ません。映画館のような大画面で見たいと思います。


今回の想像の宇宙船は、地球の住所を確かめるために地球から宇宙の果て、現在私たちが知っている宇宙の果てに向かって出発しました。製作がアメリカだからか、冥王星が紹介され、ボイジャー1号が想像の宇宙船の前を通過します。そこでブラインド・ウィリー・ジョンソンの♩Dark was the nightがノイズまじりに聞こえてきました。この曲はセーガン版の第10話でも流れた曲です。


史実に基づくエピソードは、タイソン版では実写ではなくアニメーションで紹介するようです。ジョルダーノ・ブルーノのエピソードは、アメリカン・コミックそのもので、私には馴染めないタッチ。とても怖い表情をしています。ブルーノはなんかジョージ・ハリスンみたいな顔(笑)。


ローマの通りやアレキサンドリアの図書館を案内するタイソン博士。実際に現地での取材を行っているようですが、今回も日本へやって来ていたのでしょうか?これは楽しみの一つになりそうです。


後半、コスモスのハイライトの一つである宇宙カレンダーが登場します。このあたりになってくると、確かに新シリーズというよりもリニューアルという感がしなくもないですが、どうも比較してしまいがちです。ファンとしてはどんなに素晴らしい映像になろうとも、「セーガン版を越えることはない」などと、何を目的に見ているんだと言うような気分で見てしまうのですが、それもエンディングで自分の考えが間違っていたことを思い知ることになりました。


今回のエピソードにセーガン博士の紹介があります。ファンとしては涙ものの映像が出てくるのですが、番組冒頭といい、ラストのこの番組とは関係のない紹介といい、世界中にいると思われるセーガン信者に向けての「ご機嫌取り」とも思えなくもない演出です。しかし彼ら二人の出会いのエピソードを聞かされて「そういうことなんだ」と納得。しかも彼以外に新シリーズを背負って立つ人物はいないだろうと思える二人のエピソードでした(まったく番組の内容とは関係はないのです。ちょっと涙出ました、このくだり)。


ということで、セーガン版と同じく非常にわかりやすい、啓蒙的な番組ですので、ぜひ日本版使用のソフトがリリースされることを願っています。ちなみに私の購入した海外版のブルーレイは日本国内のデッキでも視聴可能です。ソフトの冒頭に「日本語で」法律に違反すると罰せられますよ、という文言が表示されたので、もしや日本語字幕があるのでは!? と、淡い期待を寄せましたが日本語字幕はありません。今のところ、英語の字幕を読みつつ楽しんでします。